アファナシエフのピアノ・リサイタル

クラシック音楽に特に造詣が深いわけではありませんが、やはり、このピアニストは特別だと思います。

6月27日、紀尾井ホールでのヴァレリー・アファナシエフのピアノ・リサイタルを聴き、改めてそう感じました。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」と「月光」、ショパンのポロネーズ集というお馴染みの曲が、アファナシエフの手にかかると、そうか、これは、こんな作品だったのかと驚かされます。ゆっくりとしたピアノの音色の柔らかい美しさと強さ、そして時に一瞬の沈黙があたりを支配するような独特の間。


タムラ堂のスタッフで翻訳家の田村恵子が翻訳を手がけた『天空の沈黙』、『妙なるテンポ』(ともに未知谷)、さらには、最新CDのライナーノーツというかエッセイ(32ページ!)など、その独特の文章でも異才ぶりが知られるアファナシエフ、やはりすごいです。