本当に出版できるのかどうか迷っていた企画でした。こんなとっぴょうしもない本を出版するなんてどうかしていると自分でも悩んだりしていました。
とにかく、真っ白なページの下のほうに一行だけ文章が入っているだけの本なのですから。
この本の作者、レミーさんとは一緒に食事をしたことがあります。10年ほど前、彼が来日した時です。華やかな服装のわりにやさしい雰囲気の人だという印象を持ちました。
そのレミーさんは昨年亡くなりました。その知らせを聞いたのは、パリのエリザベートのオフィスででした。エリザベートは、レミーさんのこの画期的な絵本のフランス語版を出版していたのです。(オリジナルの英語版はもはや出版されていません。)
結局、この本の日本語版を出そうと決めたのは、
フランスから帰って少ししてからでした。
ところが、今度は、翻訳権の問題で暗礁に乗り上げてしまいました。
レミーさんの著作権の管理を巡って話がこじれていたのです。
そんなこんなで、延々とパリとアメリカ西海岸と東京とのメールの
やりとりが続き、実際に作業が動き出したのは夏も終わるころでした。
そんな大変な思いをしながらも、不思議な縁で繋がりながら、
この本を出版できたのは、なんだか奇蹟のような気がします。
翻訳は青木恵都さん、装丁・デザインはセキユリヲさん。
最強の『夜の木』のチームです。さらに今回は、日本写真印刷の
山口さんが助っ人としていろいろとアイデアを出してくれました。
出来上がった『雪がふっている』は、手作り感あふれる、
美しく繊細な本になりました。詳細はこちらへ
この日本語版の出来栄えを天国のレミーさんはきっと気に入って
喜んでくれると信じています。
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